春が一番怖い!?3月 4月 5月の紫外線。
執筆:ZIGEN株式会社 商品開発・CS管理担当(化粧品成分検定1級合格・化粧品成分上級スペシャリスト・国際薬膳食育師)
日照時間がどんどん長くなってくる「春」という季節。
時間だけでなく、日差しも少しずつ強くなっていきます。
「紫外線」と言うと、「夏」のイメージが強いかもしれませんが、これは年中降り注いでいます。曇っていようが、室内にいようが、常に降り注ぐ紫外線。
そして、春の紫外線は、肌に最もダメージを与える可能性があるのです。
まだ準備ができていない、それが春の肌。
日差しの強くなる春先ですが、まだお肌は冬仕様から衣替えの真っ只中。
人の肌は、夏に向けて紫外線に対応できるよう皮膚が厚めになり、冬になると薄めになるんだとか。
まだ夏仕様のお肌になり切れていない春先は、紫外線のダメージが大きくなりがち。
では、紫外線対策を怠ると、肌に何が起きてしまうのでしょうか?
瞬間的に起きるダメージと時間が経ってから起きるダメージ
私たちの肌に影響を与える紫外線には、「UVA」と呼ばれる紫外線A波と、「UVB」と呼ばれる紫外線B波があります。
UVA(紫外線A波)とは?
UVAは地表に届く紫外線の大半を占めており、その割合は95%を占めると言われています。
この紫外線そのもののエネルギーは強くないと言われていますが、降り注ぐ量が多く、また波長が長く肌の深い部分まで到達しやすい性質を持っているため、時間をかけて表面化する紫外線ダメージの原因になりやすいと考えられています。
肌の奥にある、新しい肌を生み出す「真皮」と呼ばれる層にまで達するため、肌の弾力やハリを生む組織や、肌の天然保湿因子であるヒアルロン酸などを生み出す部分にダメージを与え、いわゆる「光老化」の原因となります。
UVA…しみ・しわ・たるみといった、肌老化の原因に!
- ・波長が長く肌の奥まで届きやすい
- ・肌への影響がすぐにでないため日焼けに気付きにくい
- ・曇りでも降り注ぎ、室内でも窓ガラスを通す性質がある
- ・日常生活で浴びる量が多い
紫外線がどれだけカットできるかを表す指標は2つ。
「SPF」と「PA」です。よく見る指標ですが、どう理解すればよいかご存知ですか?
UVAを防ぐ指標が「PA」。
PAは、「+」の数でその強さを表します。
現在は「+」「++」「+++」「++++」の4段階があり、数が多くなるほどUVAを防ぐ効果が高いと考えます。
UVB(紫外線B波)とは?
UVBは、UVAとは逆に地表に届く紫外線の5%ほどの割合を占めると言われています。
肌の表面で吸収されやすく、肌の深い部分に達することはあまりないようですが、きわめて強いエネルギーを持っています。
夏のスポーツシーンや、海といったレジャーなどで「焼けた!」と感じる、日焼け、いわゆる「サンバーン」の原因となるのは、このUVBです。
経験のある方が大半かと思いますが、肌がほてり、赤くなる、ヒリヒリする、皮がめくれる、といった肌ダメージの原因となるだけでなく、「サンタン」と言われる、日焼け後にメラニンが色素沈着を起こし赤茶色のシミができる原因や、そばかすの原因になるともいわれています。
つまり簡単に言うと、肌に火傷のような状態を起こす、非常にエネルギーの強い紫外線なのです。
UVB…サンバーン・色素沈着・そばかすの原因に!
- ・波長が短く肌の表面のトラブルを起こす
- ・アウトドアでの日焼けで気づきやすい
- ・炎症を起こす紫外線トラブルになりやすい
- ・短時間でも大きく辛い影響を引き起こす
UVBを防ぐ指標が「SPF」。
SPF値が高ければ高いほど、紫外線をバチっとカットしてくれると思っている人が多いですが、
実はこの数値は『日焼けが始まるのをどれだけ遅らせることができるのか』を表しています。
SPFは、「SPF1=20分」と計算します。
「SPF20」であれば、20×20分=400分(約6.6時間)
「SPF50」であれば、50×20分=1000分(約16.6時間)
この時間分だけ、「日焼けし始めるのを遅らせる」ことができると考えます。
SPF、PAともに高い方が紫外線対策の効果が高いですが、その分肌に負担がかかるのが心配と考えられることが多いです。
SPFが高いとなぜ肌に負担がかかる?
SPFが高いと肌に負担がかかると考えられてきた理由は日焼け止めの成分によるものです。
日焼け止めによる紫外線をカットする方法は2つ。
紫外線吸収剤(ケミカル処方)
紫外線を肌の上で吸収し、化学変化を起こすことで日焼けを防止します。
高い効果が見込める一方で、肌への負担が大きいとも言われています。
原料となる物質が無色透明のため、塗った時に白くなることがありません。
そのため多く配合することができ、SPF値を高くすることができるのです。
しかし、科学的に紫外線を吸収して熱エネルギーに変換するため、その時に肌が乾燥したり敏感な人は刺激になる可能性があります。
また、一部の成分はサンゴの白化現象をはじめ海洋生物に影響を与えることが分かってきており、海外では使用を禁止されている国も増えてきています。
紫外線散乱剤(ノンケミカル処方)
紫外線を物理的に反射、散乱させることで日焼けを防止します。
ケミカル処方よりも肌に優しい反面、効果が弱いと言われてきました。
材料がすべて白いパウダー状であるため、多く配合すると真っ白になってしまいます。
そのため、多量に配合できずSPF値が低くなりがちだったのです。
しかし、配合の調整や技術努力で白くなりにくいだけでなく、高いSPF値を出せるようになってきています。
肌や環境への配慮から、ノンケミカルの日焼け止めも増えてきました。
春の紫外線ケアアイテムの選び方
子供や男性でも使用することが多くなってきた日焼け止め。
購入しようと思ってもたくさんの種類があり、選ぶ基準がわからない!という方も多いかもしれません。
日焼け止め選びの難しさの1つは、「しっかり紫外線は防ぎたい」「肌には負担をかけたくない」 という相反する2つのことを考えないといけないから。
その上でどのように選んでいけばよいのかを解説していきます。
BBクリームを選ぶポイントとは?
ポイント1:質感を確認
BBクリームは、塗りバレをしないことを前提に作られているものが多いですが、色味や質感は様々。マットに仕上がるものとナチュラルに仕上がるものがあります。
メンズメイクに興味のある方や、慣れている方はマットな質感で陶器のような仕上がりを目指すこともできますし、初心者の方や、BBクリームを使っているとバレたくない方は、ナチュラルな仕上がりのものが使いやすいかもしれません。
ポイント2:肌の色との相性を確認
肌の色は十人十色。薄く延ばすことでかなり肌の色見に合わせることはできますが、微妙に色の違いが気になることもあるかもしれません。自然に見せたい、バレたくない、そんな時には透明感やツヤ感のある肌に仕上がるナチュラルな色味を選び、塗る際にも中心からぼかしていくことで、塗っていない部分との色味の差が気になりにくくなります。
ポイント3:肌への優しさを確認
クリーム独特のベタつきを緩和するため、UVクリームやBBクリームには「シリコン」が使用されているものが多くあります。水分に強く、サラっとした質感に仕上がるメリットもありますが、毛穴の奥に入り込んでしまうと簡単な洗顔やクレンジングではきちんと落とせず、肌トラブルの一因になってしまうことも考えられます。
肌に負担をかけたくない、肌が強くない、そんな方はシリコンフリーのものを探してみるとよいですね。
UVクリームを選ぶポイントとは?
以下の3つの条件を満たす日焼け止めを選びましょう。
ポイント1:ノンケミカル
日焼け止めで言う「ノンケミカル」とは、「紫外線吸収剤」を使用せず、「紫外線散乱剤」を用いたものです。
- ・肌への負担や刺激が少なくなります。
- ・成分を見る時に区別することができます。
<紫外線吸収剤> ⇒ ×
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
・メトキシケイヒ酸オクチル
・オクチノキサート
・オキシベンゾン など
<紫外線散乱剤> ⇒ ◎
・酸化チタン
・酸化亜鉛
ポイント2:ノンシリコン
シリコンは撥水性や揮発性が高く、肌をコーティングするような膜をつくります。
そのため、水や汗に強いだけでなくサラサラのテクスチャにする目的として使われます。
また、水にも油にも溶けないという性質をもっているので、水や汗、皮脂にも強いのですが、その分落としにくいという難点も。 きちんと落とせず肌に残ってしまうことで肌トラブルの原因になる場合もございます。
ポイント3:落としやすい
シリコンにも関わりますが、落としにくいタイプのものはクレンジングが必要になりますし、洗顔時間が長くなったり、無意識にゴシゴシ洗ってしまうなど、摩擦が増える可能性が高くなります。
グレンジング不要の石けんや洗顔料だけで落とせるようなものを選びたいですね。
サプリなどのインナーケアでより手軽にUV対策を
外からのUV対策以外にも中からのインナー対策をすることをお勧めします。
ポイント1:ビタミンC
ビタミンCにはメラニンの生成を抑える働きと、メラニン色素を薄くしてくれる働きがあるといわれています。
この2つの働きにより日焼けでお肌が受けてしまったダメージを解消してくれます。
また、ビタミンCは日焼けの予防だけでなく、日焼けしてしまった後の肌にも効果が期待されています。
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